新着情報
-2000年1月12日-

テレコム・フォーラム2000年1月号にに当社で手がけた駒澤大学高校のLAN構築に関する記事が載りました。
以下は、そのときの記事です。

電子メ-ルを生徒全員が利用できる情報環境を整備

◎いよいよ21世紀が目前に迫ってきた。新世紀には光ファイバケーブルによる"ファイバ・ツー・ザ・ホーム"が実現し、快適なマルチメディア通信が可能になるなど、コンピュータ・ネットワ―クは日常生活に、ますます身近なものとなるだろう。

◎そうした21世紀を見据えたとき、次代を担う子供たちが情報リテラシーを身につけることは読み書き能力と同様に重要である。この観点から近年、学校教育の場でもコンピュータ教育が導入されてきており、特に最近ではインターネットの活用が進んでいる。

◎東京都世田谷区にキャンパスを置く駒澤大学高等学校は、コンピュータ教育の充実をめ
ざし、校内LANを整備するとともにNTTのOCNエコノミ―を導入。インターネットに接続して、生徒全員が電子メールを利用できる情報環境を構築した。そこで、インターネットを有効な学習ツールとして活用する同校の取り組みをレポ―トする。


21世紀を見据えたコンピュータ教育の充実

駒澤大学は、明治15(1882)年に「曹洞宗大学林専門学校本校」として創立され、大正期に東京・駒沢の地に移転して現在の名称に改めているが、そのルーツをたどると、文禄元年(1592)、曹洞宗による禅の実践と仏教の研究、漢学の振興を目的として、江戸駿河台吉祥寺の境内に開設された私塾「栴檀林(せんだんりん)」にまで遡ることができる。

建学以来、実に400年あまりの長い歴史をもつ同大学の大学予科が戦後の学制改革により廃止され、その後を受け、昭和23年、付属高等学校として設立されたのが駒澤大学高等学校(東京都世田谷区用賀、河村光司校長、生徒数約1,500名、教職員数約100名)である。

同校は平成10年に創立50周年を迎えた。「このとき、記念事業として取り組んだのが、21世紀を見つめた情報教育の充実でした。具体的には情報処理実習室に最新型のパソコン50台を設置するとともに、OCNエコノミーを導入してインターネットの常時接続環境を整備しました。そして、生徒全員に電子メールアドレスを配布して、全員がインターネットを利用できるようにしたのです」 と、同校で情報化推進を担う山海俊範教諭は、コンピュータ・ネットワーク環境を整備した経緯を説明する。


既存設備を生かしながら赤外線LANなど最先端のシステムを構築

そもそも同校が教育用にパソコンを導入したのは平成5年からで,理科実験室に25台を設置し、スタンドアロンで利用しはじめたのが最初である。続いて平成7年,情報処理実習室を新設してパソコンを50台に増設するとともに、情報処理実習室と理科実験室、職員室などを結ぶ校内LANを構築し,NetWare上で動作する情報環境を整えた。

そこで,平成10年の創立50周年事業としてコンビュータ・ネットワーク環境を充実させることにしたのである。ネットワークの再構築にあたって留意したのが、既存の設備を生かしながら最先端の形を追求することだった。つまり、既存のLANケーブルやNetWareサーバ/クライアントをそのまま利用しつつ、インターネット接続はより高速な環境をめざしたわけだ。

まず、インターネットヘのアクセス回線は既存のISDNよりも高速で常時接続に適した128kbit/sのOCNエコノミーに切り替え、LANの増設部分には配線工事を最小限にできる赤外械LANを導入することにした。また、生徒のインターネット利用向けに最新型のパソコン50台の導入も決めた。


リアルビテォサーバにより甲子園からの実況中継にチャレンジ

こうして再構築された同校のネットワーク構成は右図のとおりで、新たに導入したパソコン50台を第一情報処理実習室に設置し、従来からのNetWareサーバ/クライアントは新設した第二情報処理実習室に移設した。このほか、赤外線LANは理科実験室、被服室、美術室、職員室、事務室などに敷設し、ノートパソコンをもち運んで利用できるようにした。

ネットワーク構成の特徴は、―般的なWebサーバ(*1)やメールサーバ、DNSサーバ(*2)以外に、さまざまなサーバを立ち上げたことだ。

このうちプロキシサーバ(*3)には校内LANとインターネットの境界機能のほか、ダウンロードしたデータを蓄積する役目もある。これにより、128kbit/sの回線容量ながら、50人の生徒が一斉にWebを利用しても快適さは損なわれないという。

検索DATAサーバはWeb上で電子メールのやりとりをできるようにするためのもの。一般のメールソフトでは利用者ごとにメールアドレスなどを設定しなければならないし、受信した電子メールをパソコンにダウンロードしてしまうため、同校のように生徒がパソコンを共用する環境では不都合が生じてしまう。このため同校では、一般のメールソフトは使用せず、Webブラウザ上で電子メールのやり取りができる方法を採用した。利用時にはブラウザ上でID、パスワードを入力することで利用者を特定する。IDは卒業後も使用できるので、年々ユーザ数は約500人ずつ増えていくことになるが、このID管理やユーザ検索を行うのが検索DATAサーバとなる。

リアルビデオサーバはWebページ上で動画を配信できるようにしたもので、平成11年春に同校が甲子園出場を果たした際には、生徒がノートパソコンとデジタルビデオカメラ、およびPHSを甲子園にもち込み、スタンドからの実況中継にチャレンジした。また、生徒用サーバ、先生用&共用サーバも立ち上げ、クラブ活動のホームページ掲示板を利用できるようにしたほか、CD-ROMサーバも設置して、百科事典などのCD-ROM60枚をLAN上から利用できるようにした。


インターネットは学習用にもコミュニケーション用にも有効

ただ、インターネットを自由に使えるとなると、わいせつ画像など有害情報に生徒が触れたり、チャット(リアルタイムのメッセージ交換)でトラブルに巻き込まれるといった心配もある。このため、学校によってはフィルタリング機能で有害ホームページにアクセスできないようにするところもあるが、同校ではこうした機能は採用していない。

この点について久保田教諭は、「規制をかけたのではネチケット(ネットワーク上のエチケット)は身につきません。自制心をもたせ、マナーを育てるのが基本です。また、インターネットでトラブルに巻き込まれる危険性があることも覚えてもらうのが大切だと考えています」と話す。

ただし、生徒にはあらかじめネチケットのルールプリントを渡して誓約書をとり、違反したらIDを没収するとの決まりはある。また、情報処理実習室には専任教諭が常駐しており、教諭の席からすべてのパソコンの画面が見渡せ、サーバで生徒の画面のモニターもできるので、現実に生徒が有害情報に接することはほとんどないという。



アクセス回線の大容量化で週5日制カリキュラムに対応

高速の赤外線LANを導入するのは、もちろん各教室の授業でインターネット活用を本格化するためだが、回線の大容量化は家庭からのアクセスが増大することを想定してのものだ。

「カリキュラムが変われぼ学習の形態も変わってきます。そのとき、インターネットが有効に働くことになるでしょう。掲示板を使った講義とか、インターネットラジオでの授業、リアルビデオを利用した予習。復習など、回線が高速になれはいろいろなことにチャレンジできます。週5日制になって家庭学習が増えても、学校として多様な学習の形態を提供していきたいので、そうした時代を先取りする形で、いまから十分な環境を整備していきたいですね」と、山海教諭は今後の抱負を語ってくれた。


*1
ブラウザにファイルやデータを提供するソフトウェア。
*2
ネ―ムサ―ビスの仕組み。
ホスト名とIPアドレスの対応表をもち、ユーザはIPアドレスの代わりにホスト名を合わせることで、IPアドレスを通知してもらう。
*3
LANからのインタ―ネット接続を行う際、セキュリティ確保で高速アクセスを実現するサ―バ。
参考: 駒澤大学高等学校のホームペ―ジ。 (http://www.komazawa.net)
  駒澤大学高等学校のLAN構成

テレコム・フォーラム((財)日本電信電話ユーザ協会)2000年1月号より



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